作業療法とは

基本的な動作能力から社会の中に適応する能力まで3つの段階の能力を維持・改善し、「その人らしい」生活の獲得を目標にします。その人を取り巻く環境をよりよく整備する働きかけも行います。

リハビリテーション内容

中枢性疾患に対するリハビリテーション

上肢・巧緻動作練習

細かい手先の動きの練習を徒手や様々な道具を用いて練習していきます。

中枢疾患リハ

整形疾患に対するリハビリテーション

肩関節の可動域拡大、筋力増強練習

保存療法による外来リハや人工肩関節、腱板断裂手術、授動術の術後リハをおこなっています。

人工股関節置換術後に対するリハビリテーション

脱臼を予防し、靴下・爪切りができるよう指導をおこなっています。

高次脳機能障害に対するリハビリテーション

注意機能練習

注意障害に関わらず、記憶障害や前頭葉機能障害などの高次脳機能障害に対しリハビリテーションしていきます。

認知症に対するリハビリテーション

趣味活動

昔の懐かしい絵を使いながら昔の経験や思い出を話したり馴染みのある作業活動を実施しながら認知機能の回復・維持に対しアプローチしていきます。

日常生活動作に対するリハビリテーション

食事動作練習

自助具箸で利き手交換などを行います。

整容動作練習

腕が上がりにくい場合は柄の長いブラシを作成します。

更衣練習

服を着る動作の手順やそれに必要なバランスの練習など行います。

排泄動作練習
入浴動作練習

シミュレーター機器を使い、在宅復帰に向けた手すりの位置や福祉用具などを検討しながら動作練習を行っています。

家事動作などに対する生活関連動作のリハビリテーション

自助具や福祉用具を紹介したり、適切な動作の練習をしていきます。

調理動作練習
掃除動作練習

住宅改修指導や福祉用具選定に対するリハビリテーション

福祉用具選定

日常生活が送りやすいよう、ソックスコーンやシャワーチェア等、必要に応じて検討していきます。

住宅改修指導

退院前に自宅に訪問しケアマネージャーや各種事業者の方と検討しながら住宅改修や福祉用具の指導を行います。

復職に向けた就労支援に対するリハビリテーション

復職のための練習

患者様に応じた職業支援を実施していきます。

自動車運転再開のリハビリテーションについて

はじめに

  • 当院での自動車運転再開支援は、運転を可能にすることを保証するものではありません。
  • 場合によっては運転免許の返納をお勧めすることがあります。
  • 安全運転が可能か否か医学的初見から助言するものです。

対象の方

  • 対象疾患は、脳血管疾患や頭部外傷などによって脳が損傷し、身体機能障害や高次脳機能障害によって、自動車運転に支障をきたすと予測される方。
  • 当センター回復期リハビリテーション病棟に入院されている方、及び連携先の急性期病院からご紹介いただいた方など。

自動車運転再開支援プログラムの流れ

以下のステップで評価を行います。

STEP1:医師の指示により支援開始

脳卒中等の再発やてんかんのリスク、処方中の薬などを確認し、医師が自動車運転再開支援を処方します。

※処方には、本人と家族などのキーパーソンとなる方、双方が運転再開を希望することが必要です。

STEP2:リハ専門職による面談

対象者の自動車運転に関するさまざまな情報を聴取します。具体的には運転の目的、運転歴、事故・違反、よく運転する道路環境、時間帯など。

STEP3:病院内での評価
身体機能検査と神経心理学的検査

自動車運転をするために必要な手足の動きやバランス能力、視機能などの身体機能検査、注意・記憶・遂行機能などの認知機能検査を行います。

ドライビングシミュレーター

HONDAセーフティナビを使用し、反応速度や道路走行課題を行います。ハンドル操作やアクセル・ブレーキ操作、危険に対する認識などを含めた運転行動を評価します。必要に応じて訓練にも用います。

停止車両評価

実際の停車した車両を使用し、車両への乗り降りやハンドルやウィンカー、アクセルブレーキなどの操作、視野や車両感覚などの評価を行います。

STEP4:病院外での評価

必要に応じて、当院と連携しているドライビング・スクールで実際の教習所内や路上で運転し、実車評価を行います。実車評価には作業療法士と家族も同乗し、評価を行います。運転中の様子はドライブレコーダーで記録され、評価後に映像を見ながら作業療法士がフィードバックを行います。

STEP5:適性相談と診断書作成

病院内・外での評価結果で適格と評価された場合、運転免許センターへの適性相談を行い診断書を受け取る手続きを行っていただきます。

その後、医師が診断書を作成しお渡しします。

STEP6:運転免許センターでの適性検査

上記診断書を元に、免許センターにて必要に応じて臨時適性検査が行われ、最終的に免許センターで運転の可否や補助装具の有無などが判定されます。