さまざまな機関と連携を図り
時代に応じた診療・治療を提供
理事長 園部 秀樹(そのべ ひでき)
HIDEKI SONOBE
当センターのあゆみ
当センターは、1966(昭和41)年に和歌山県唯一の肢体不自由者更生施設として設立され、同時期に附属病院が併設。主に関節・脊椎等の整形外科疾患を中心に診断・治療を行い、1973(昭和48)年には身体障害者福祉工場を設立。パナソニック株式会社様のご協力のもと、慢性麻痺や脊髄損傷、四肢切断後の障害のある方々が電池の組み立て・加工を行っております。
また同年、和歌山県より肢体不自由児通園施設・若竹園の受託運営を開始。1989(平成元)年には介護老人保健施設サニーホーム業務を開始。病院から自宅への中間施設として、地域の高齢者の看護・介護・リハビリテーションに努めてまいりました。
2003(平成15)年からは、回復期リハビリテーション病棟を開設。運動器疾患・脳血管障害患者様を中心とした四肢・体幹機能障害に対し、365日体制にて理学療法・作業療法・言語療法等のリハビリテーションを行い、手厚い看護・介護サービスを提供。地域連携室・地域包括支援センターと協力しながら、患者様の早期の社会復帰・在宅復帰を目指して尽力しています。2016(平成28)年からは介護保険をお持ちの方を対象に、短時間通所リハビリテーションを立ち上げ、地域の皆様に高い評価をいただいております。
当センターにおける
リハビリテーションの
意義と分類
さて、リハビリテーションの語源は、ラテン語でRe(再び)habilis(適した)。再び適した状態になること、本来あるべき状態への回復。リハビリテーションは、その人が持つ潜在能力を引き出し、生活上の活動能力を高めていくことを目標としており、急性期・回復期・維持期の3つのカテゴリーに分類されます。
急性期リハビリテーションとは、発症からできるだけ早い段階で行われるリハビリテーションを指します。全身状態が十分に安定していない場合が多いためリスク管理をしっかりと行いつつ、安静状態が長期に渡って続くことによって起こる心身の機能低下などの廃用症候群の予防と、早期離床、機能回復、基本動作の練習をすることが主体となります。
回復期リハビリテーションでは、障害の内容や程度に関して、実際に対象となる方の日常生活を想定しながら、多岐にわたる集中的なリハビリテーションを実施。急性期に引き続いて機能障害の回復をはかるとともに、基本動作能力、歩行能力、身の回りのことや家事動作、その他趣味活動、仕事などについての可能性・目標を見極め、実際にその方がこれから送られる生活を一緒に考えながら進めていきます。 維持期リハビリテーションは在宅・施設に関わらず、医療機関で行われる急性期・回復期のリハビリテーションによって獲得された機能や能力が低下することをできるだけ防ぎ、身体的、精神的かつ社会的に最も適した生活を獲得することを目標とし、基本的には通所・訪問リハビリ、介護老人保健施設等で介護保険のサービスとして行われるものです。
自動車運転支援に関する
当センターの取り組み
近年、高齢者の自動車事故が頻発し、道路交通法が改正され高齢者の認知機能チェックが厳しくなっています。障害者にとっても社会復帰・在宅復帰に向けて自動車運転の必要性は言うまでもなく、特に都会とは異なり、和歌山県のような交通網の未発達地域においては自動車がなければ家から出られないという方々がいるのも事実です。リハビリテーションの分野では「日本安全運転・医療研究会」が発足。医療・リハビリテーション・工学・自動車企業・自動車教習所・公安委員会等の関係者で検討が行われております。脊髄損傷による両下肢麻痺や脳卒中による片麻痺の場合、例えばアクセル・ブレーキを手で操作できるようにする、ハンドルにノブを取り付け操作しやすくする等、自動車の改造で対応できる場合が少なくないと思われます。当センターでも作業療法士が中心となって、和歌山県警、交通安全協会のご助力もいただきながら、障害者の自動車免許についてマニュアルを作成しております。
患者様のADL(Activities of Daily Living:日常生活動作)とQOL(Quality Of Life:人生・生活の質)向上に向けて
少子・高齢化社会はますます加速し、超高齢化社会が目前となってきており、医療や福祉を取り巻く環境は大きく変化していくものと思われます。こうした厳しい情勢の中で、我々職員が一丸となって患者様のADL・QOLの向上に誠心誠意努力していく所存でございますので、皆様方のご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。